子どもが語る『沖縄』の会を開催しました

和光小3年生の娘を持つ事務局員から、報告いたします。

 

 

まずはじめに……●和光小での沖縄学習●

和光小6年生の修学旅行は、沖縄です。南部戦跡や、激戦地であった嘉数高台、新基地建設が強行されている辺野古、集団自決のあった座間味島などを訪れる3泊4日。沖縄戦体験者や米軍基地被害の話、新基地建設に反対する市民に話をききます。近年では「アメラジアンスクール」を訪れ、交流もしています。2016年は、30回目の沖縄修学旅行でした。

帰京してから、6年生は沖縄で学んだことを、それぞれ一冊のノートにまとめ、5年生に伝えます。伝えられたそのときから――つまり5年生から、沖縄学習がスタートするというわけです。

そしてこの沖縄学習は、1年生でアイヌの学習、2年生でパン作りや誕生の学習、3年生で蚕の学習、4年生で多摩川の学習、5年生で「食」の学習……と続く、和光で一貫して学ぶ、「いのち」の学習の集大成でもあります。

和光世田谷九条の会では、子どもから大人へ伝える、この『こどもが語る沖縄』の会を、毎年開いています。

 

2017.5.12『こどもが語る沖縄』当日の会の流れ●

今回、伝えにきてくれた子どもたちは、8人。現在中学一年生。この間まで和光小6年生でした。

第1部・全体会として、藤田先生より、〈なぜ沖縄を学ぶのか〉〈沖縄を学ぶ5つの視点〉のお話。そして2017324日に放映された、“NHK首都圏ニュース 沖縄から憲法を考える”のビデオを視聴しました。和光小の沖縄学習が紹介された約6分の映像で、アメラジアンスクールのこどもたちの「基地に反対するというあなたたちの意見に賛同できない。自分たちを否定されている気持ちになる」という言葉に衝撃を受ける子どもたちの姿が映っています。

第2部・いよいよ「伝える会」。子ども1人に対し大人6~7人の、8つの小グループをつくります。各グループの子どもたちは、それぞれ手製の沖縄学習のノートを元に、自分が何を学んだか、どう感じたか、伝えたいことを話してくれます。

第3部・全体会に戻り、大人から子どもへ、そして子どもから大人への質疑応答が行われました。

 

●わたし自身の感想と報告●

今回は50名以上の参加者があり、事務局も驚いていました。和光出身の女性に描いてもらった暖かいチラシのおかげもありますし、政府の横暴な新基地建設、安倍政権への不安を募らせている人々が多いということも感じました。

今回大きかったことのひとつは、「あなたたちは基地反対というが、それは私たちを否定することになるのではないか」というアメラジアンスクールの子どもたちの言葉でした。この意見には大人たちも衝撃をうけましたが、子どもたちはそこで考えることを止めませんでした。なぜ米軍基地があるのか。基地に反対する自分たちは間違っているのか。見方、考え方、感じ方はひとつではない。それでも、戦争は絶対にいけないと思う。なら、どうすればいいのか。思考を深めていきます。このとき、藤田先生からお話があった、「政府と国民、組織と個人を“峻別”するという認識」が生まれてくると思いました。戦争・基地を拒絶するだけでなく、さらに戦争の原因に目を向けることが、戦争を止めるその一歩だと思いました。

ネットで「ググれば」すぐに情報は手に入り、なんでも分かったような気になってしまうような世の中で、現地を訪れ、話をきき、ネットでは感じることのできない匂い、気温体温、空気の揺らぎ、土や海、木々の触感を体全体で感じながら、戦争や基地で苦しみ殺されること、そして生きることを知っていく。自分たちが感じたことを話し合い、伝えることで学びなおす。さらにこの「語る会」では、半年ぶりに沖縄学習を振り返ります。改めてもっといろいろな人に伝えたい、伝えてほしいという気持ちが生まれます。伝え、伝えられる繰り返しがえしのなかで、自分の言葉を持ち、捉えなおし、学びなおすことが、揺るぎない自身の思想、生き方の原点となってゆく。これこそが、知性的な姿だとおもいました。子どもたちの知性の形成の過程が、とてもよく分かる会であり、同時に、我々大人が何をすべきか、改めて突きつけられる会でもありました。

 

大人から子どもへの質問で印象に残ったことをひとつ

「沖縄へ行く前と、行ったあとで、何が変わりましたか?」という質問に対し、Sくんの「沖縄へ行く前は、辛そうで嫌だなと思ったけれど………実際に行って話をきいたらもっと辛くて、苦しくなった」という答えに、胸打たれました。人の痛みを感じ、苦しくなる。それでも伝えようする。伝えられた者の「責任」を背負う彼の姿に、わたしたち大人はなにをすべきでしょうか。

子どもから大人への質問で印象に残ったことをひとつ

「大人のみなさんは、沖縄を差別していると感じますか?」基地を押し付けているこの現実が、「構造的差別」ではありますが、ある方が答えていた、「無関心、それが差別なのだ」という言葉に、やはり、我々大人が問われているのだ、と感じました。

 

●8人の語り部たちの感想より●

「伝えられて良かった。」「今日自分たちが伝えたことを、友達や家族にどんどん広めてほしい。」

という感想をすべての子どもが書いていました。

 

〇KSくん

すこしでも戦争のことをしってくれたらうれしい

 

〇SGくん

大人の方も、しんけんに聞いてもらえて、安心しました。今の6年生も、次へ次へと伝えてもらいたいです。

 

〇YKさん

NHKで放送されたときのかいと先生が言った、「大人になったら伝えよう…って、でもいま、大人じゃん?」という言葉が、「あぁ」と思いました。なぜかというと、自分たちも同じになるんじゃないかと思ったから。今はこうやって言ってるけど、これからはどうなの?だからこれからも忘れないようにしなければと思います。

 

〇FKさん

自分にかんけいないと思っている人の意見を、前にはたくさんのつらいことがあって、今でも基地問題があるから、たくさんつたえて、戦争をとめたいといういけんになれたらいいなと思います。

 

〇HNさん

「沖縄を差別してますか?」って聞いたら、答えてくれて、してるのかしてないのかが、分かって良かったし、どうゆうふうに、差別かいじょすればいいのか、どうしたらいいのかが聞けて良かった。沖縄戦だけではなく、今おきている戦争や広島や長崎の原ばくや、毎日おきている殺人事件で、命がうばわれているから、その事も忘れてほしくない。もっとたくさんの人に命どぅ宝。命こそ宝を、伝えていきたいです。

 

〇SIくん

平和についてわかってもらえたら、ぼく達はとてもうれしいですし、沖縄の人達もうれしいと思います。やっぱり戦争の時のあたりまえはなくて、今ぼくたちはこうやって平和にくらしていられるのはしあわせだなと思います。

 

〇HAさん

今日、ひさしぶりに学習旅行記をひらいてみると、思ってた以上ぎっしりかいてあり、自分に、自分でビックリしました。私は、学んだから“おわり”にしたくないので、今回ほんとうにドキドキしました。人それぞれとらえかたがちがうけれど、戦争をしちゃいけないってことは、とらえてほしいと思いました。

 

〇KKくん

こんなにきてくれてうれしいです。今日のことわすれてほしくないです。

 

大人たちからの感想もたくさんいただきました。機会があれば、またアップいたします。

(報告:H.F